毎週日曜の夜21時から放送のTBSドラマ、
『ブラックペアン』
で描かれていた、ある職業について波紋を呼んでいました。それが、
治験コーディネーター
という職業です。
ドラマ内で描かれていた治験コーディネーターの職業が、実際の業務とあまりにもかけ離れているとして、日本臨床薬理学会がTBSに対して、現実と乖離した描写を避けるよう求める意見文を公開しました。
ちなみにドラマ内で治験コーディネーターを演じているのは、加藤綾子さんです。
治験コーディネーターとは一体どんな仕事で、この職業に就くにはどうしたら良いのでしょうか?
また必要な資格や、年収も気になりますね!
治験コーディネーターとは?
まず簡単にですが治験コーディネーターとは、
治験業務が円滑に実施されるよう、被験者(治験に参加する患者様)、医師、医療従事者、製薬会社との間の調整役になる職業の人を指します。
「CRC」と呼びますが、Clinical Research Coordinatorの略です。
医師や医療従事者、製薬会社との連携で行われていく治験といえども、新薬の有効性や副作用の有無を調べていくわけですから、やはり被験者にとっては不安を抱えたまま治験に参加される患者さんもいらっしゃるんですね。
そういった被験者の相談役となって、心配や不安を軽減させ、最後まで関わりサポートしていくわけです。
働き方としては大きく2つに分けられ、
1つは、看護師や薬剤師、臨床検査技師として医療機関に所属しながら治験業務を行う『院内CRC』。
2つ目は治験コーディネーターとしてSMOに所属して医療機関に派遣されるという働き方です。
ちなみに『SMO』とは、Site Management Organizationの略で、治験実施医療機関から委託を受けて、医療機関の治験業務を支援する機関のことです。
治験コーディネーターになるには&必要な資格は?
実は治験コーディネーターになるには、資格は必要とされていないとされています。
しかし、先ほども少しお伝えしたように、治験コーディネーターが治験に際して向き合っていくのは被験者だけではありません。
医師、医療従事者、製薬会社などと連携を図りながら行っていくので、多くの疾患に携わり、多くの医薬の知識に触れていくことになります。
医学的な知識はもちろんですが、被験者・医師・医療従事者など、治験依頼者との高いコミュニケーション能力が必要とされます。
こういったことから治験コーディネーターになるための資格は不要でも、看護師・薬剤師・臨床検査技師などの資格をもともと持っている医療従事者がなりやすい傾向にあるようです。
以下は、治験コーディネーターになるために必要な資質・知識等をまとめました。
求められる資質・能力
誠実さ、明るさ、粘り強さなどの資質
コンピューターを使用する能力
治験実施計画書を理解する能力
薬理・薬物動態・統計解析・疾患背景等を理解する能力
事務処理能力(文書作成・経理処理等)
薬事関連法規を理解する能力
医師との専門的な会話ができる能力
治験の手順を把握する能力
治験チーム全体を調和させる調整力
様々な場面での判断力
求められる経験・知識
臨床経験
医学的知識
薬学的知識
法的知識
倫理的概念
治験コーディネーターの年収は?
職業を決める際にはやはり年収等は気になるところですね。
治験コーディネーターの場合はどうなんでしょうか?
未経験からのスタートの場合、東京・大阪等の都市部での初年度の給与で、
月収20~25万円+残業代+賞与約3~4ヶ月
だいたい年収400万円前後でしょう。
3年目ほどで、
月収約25~30万円で、年収は約400~450万円前後。
5年目以降で、
月収約30万円以上、年収で約500~600万円前後。
都市部ではこれくらいが平均的だと思います。
ただ、地方になると、年収が20~100万円ほど下がるでしょう。
医療従事者が治験コーディネーターに転職した場合、前職によっては初年度の年収が下がる可能性があります。
看護師・薬剤師・臨床工学技士などの場合は、転職後年収が下がる可能性が高いですね。
臨床検査技師・管理栄養士・臨床心理士などは転職後年収が上る可能性が高いです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
珍しい職業についての情報は、ドラマなどで知られることも少なくないですが、ストーリーによっては偏った描写で描かれることもありますよね。
ドラマの演出上必要であったとしても、特定の職業が誤解されてしまうような事になってはいけません。
今回それが「治験コーディネーター」だったわけですが、他のどの職業であっても決して良いわけではありませんし、実際にその仕事に就いていらっしゃる方からしたら迷惑な話ですよね^^;
しかし、私たち視聴者も「ドラマで描かれている職業のイメージが全てじゃない」ということも理解しながら観ていく必要がありますね。
現実とドラマの世界は違うということは、みなさんも十分に理解されていらっしゃることだと思いますので。
ということで「治験コーディネーター」について気になっていらっしゃる方には、参考にしていただけると幸いです♪